狂犬病ワクチンや混合ワクチンの接種にご来院いただく方へ
副反応を極力減らすために以下のことにご協力ください。
接種後にアナフィラキシーショック(処置が遅れると生命に関わる重篤な副反応)を起こした動物のうち、90%が10分以内に起こしたという報告があります。そのため、接種後10~15分は院内にて経過を観察させていただきますのでお時間に余裕を持ってご来院下さい。
残りの1割の動物は4時間以内に起こしたという報告があります。帰宅後は少なくとも4時間前後は動物を一人にすることはせず、少しでも普段と違う様子が見られたらすぐに病院に連絡を入れていただいた上ですぐにいらして下さい。
接種の前後2時間は食事をさせないようにして下さい。
接種後24時間は激しい運動は避けて下さい。
接種後5~7日は念のためシャンプーは控えて下さい。
接種後少なくとも1週間はお泊まりや手術のようなストレスがかかる状況は避けて下さい。
ワクチンの種類
犬、猫ともにコアワクチンとノンコアワクチンがあります。
コアワクチン・・・病原性が強く、どの環境においてもかかる可能性がある病気のワクチンであり、全員が接種した方が良いもの。
ノンコアワクチン・・・置かれた環境によって感染の可能性が異なる病気のワクチン
ワクチンに関する情報
▶犬の場合

犬の場合は上の表にあるワクチン製剤があります。(一部近日販売終了)
日本国内ではコアワクチンのみで構成されたワクチン製剤が存在しないため、最低限でも5種混合ワクチンを接種することになります。
ノンコアワクチンは感染の可能性がある場合のみ接種すべきとされています。
パラインフルエンザとボルデテラブロンキセプチカは飛沫感染してしつこく咳が長引くケンネルコフの一因となります。飛沫感染するため、ペットホテルやトリミング等犬が密に集まるところで感染の可能性が生じます。このような所に行く可能性がある場合は接種をお勧めします。
レプトスピラは急性の肝不全や腎炎を起こし、時には数時間で死に至ることもあります。またこの病気は人間にもうつる人獣共通感染症です。
感染源はネズミの尿やそれに汚染された土壌や水です。このため、河川や沼、田などで感染することが多い病気となります。また、感染した犬の尿からも感染します。千葉県でも年に数例報告されていますし、当院でも感染症例を診た事があります。
この地域は河川や田も多くネズミも普通にいる地域のため、レプトスピラを含んだワクチンをお勧めしています。
以上の理由からこの地域なら7~11種混合ワクチンが望ましいと言うことになります。しかし、9種混合と11種混合は販売終了となっていて入手できません。
また、8種混合と10種混合はアジュバント(効果を高めるための添加剤)を使用したものしかなく、発熱しやすくなります。また注射部位の腫れや肉腫化の副作用が疑われています。
これらのことから当院では7種混合をお勧めしています。
世界小動物獣医師会(WSAVA)によるワクチネーションガイドラインではコアワクチンは初年度に抗体検査をしてきちんと効果が出ていることが確認できている場合は3年に1回で良いとされています。
また、ノンコアワクチンは初年度以降は1年ごとの接種が推奨されています。
一方で3年毎で大丈夫という日本でのデータが不足していて確実性に欠けるため、単に3年毎にするのではなく毎年抗体検査をして効果が残っていたらその年は接種しないという方法も提案されています。この方法であれば安全にワクチン接種の回数を減らすことができます。
ただしレプトスピラワクチンについては感染の可能性がある場合には毎年接種することが推奨されています。
これを費用面で考えると1年にかかる費用は
・抗体検査で抗体が残っていた場合
抗体価検査料
+
レプトスピラワクチン料
となり7種混合ワクチン料とほぼ同額
・抗体検査で抗体が残っていない場合
抗体検査料
+
7種混合ワクチン料
となり7種混合ワクチン料よりも高額
となります。
簡単にまとめると
コストを抑えたい場合:毎年混合ワクチンを接種する。
安全性を優先する場合:毎年抗体検査をし、結果に応じてワクチンを使い分ける。
この2つのいずれかの方法になると思われます。

犬と猫のワクチネーションガイドライン(WSAVA)より引用
▶猫の場合

猫の場合は上の表にあるワクチン製剤があります(一部販売終了)。
「どのワクチンを接種すべきか」
ノンコアワクチンである猫白血病の感染経路はは接触感染であるため、感染の可能性がある猫との接触がなければ接種する必要はありません。
単独で室内飼育されている場合はもちろんのこと、多頭飼育でも全員が白血病ウィルスのキャリアでないことが確認できている場合も接種の必要がありません。
屋外に出る猫や、感染の有無が不明な猫と同居する場合は猫白血病ワクチンの接種が推奨されます。この場合は4種混合または5種混合を接種します。
なお白血病ワクチンを接種するには、感染の有無を確認する検査が必要になります。
かつては猫エイズワクチンもありましたが、現在は販売終了となっていて入手できません。
猫ヘルペスウィルスと猫カリシウィルスは飛沫感染するため、室内のみでの飼育の場合でも感染の可能性があるため接種が推奨されます。この場合は3種混合を接種します。
「追加接種の頻度」
世界小動物獣医師会(WSAVA)によるワクチネーションガイドラインではコアワクチンは初年度に抗体検査をしてきちんと効果が出ていることが確認できている場合は3年に1回で良いとされています。
また、ノンコアワクチンは初年度以降は1年ごとの接種が推奨されています。
一方で3年毎で大丈夫という日本でのデータが不足していて確実性に欠けるため、単に3年毎にするのではなく毎年抗体検査をして効果が残っていたらその年は接種しないという方法も提案されています。この方法であれば安全にワクチン接種の回数を減らすことができます。
これを3種混合の場合に費用面で考えると 1年にかかる費用は
・抗体検査で抗体が残っていた場合
抗体価検査料のみ
となり3種混合ワクチン料とほぼ同額
・抗体検査で抗体が残っていない場合
抗体検査料+3種混合ワクチン料
となり3種混合ワクチン料よりも高額
となります。
簡単にまとめると
コストを抑えたい場合:毎年混合ワクチンを接種する。
安全性を優先する場合:毎年抗体検査をし、結果に応じてワクチンを使い分ける。
この2つのいずれかの方法になると思われます。